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家を買って8年後の悲劇…「資産」が一転、貸せない売れない「負債」へ
とある夫婦が、内装が綺麗で、しかも相場よりも安い家を買いました。「なんて素敵なマイホーム♪」と、買った当初はとても満足していました。
しかし、8年後に悲劇は起こります。
ご主人の転勤が決まり、家族全員で引っ越すことが決まりました。そうすると、マイホームに誰も住まなくなります。
そこで夫婦は考えました。「自宅を売るか貸すかしよう」早速不動産屋に訪問し、売却査定をしてもらいました。同時に、賃貸物件として貸し出したらいくらの家賃が取れるかも聞いてみました。
その答えを聞いてご夫婦は愕然とします。
売っても二束三文、貸しても思っていた家賃の半分以下…
実はこの物件、最寄駅から徒歩18分にあり、さらに「既存不適格」といって、現行の法律の建築基準法を満たしていなかったのです。
ローンの残債はまだ2,500万円も残っています。「価格は2,200万円が関の山」といわれ、売ってもローンが返せません。「売るに売れない」のです。
満足に貸すこともできない、売ることもできない。
結局、大幅に家賃を下げて貸しながら、その家賃を住宅ローン返済の一部に充て、引越し先では賃貸住宅に住んで、毎月の家賃も支払うという生活となりました。
そうです。マイホームという資産が一転、家計の足を引っ張る「負債」へと姿を変えてしまったのです。
年収も家族構成も同じ。家を買った場所(立地)の違いでこんな差が…
もう一つのエピソードをご紹介しましょう。年収も同じ、家族構成も同じという2つのご家族がいました。
違ったのはマイホームを買った場所です。
1つの家族は、広々とした「郊外の新築庭付き一戸建て」を、もう1つの家族は必要な広さの「都内の中古マンション」を買ったのです。
それから30年が経ち、郊外から「動くに動けない…」という悲鳴があがっています。
周りを見渡すとスーパーや病院が撤退、いつの間にかバス便も統廃合されています。住宅ローンを払い終え、これから始まるバラ色の老後が一転、悲痛な叫びに変わっているのです。
ちなみにこれは、実際に週刊東洋経済でも報じらた紛れもない事実です。
バブル期には都心部の住宅価格が高騰し、郊外住宅に夢の新築マイホームを買う動きがいわばブームになったことがありました。
通勤列車に乗って、お父さんが毎日何時間もかけて都心に働きに出かけた時代です。その結果が今になって
住宅購入は投資?資産価値のあるマイホームを買えば住宅ローンが貯金に
話には続きがあります。
都内に住宅を購入した家族は、子どもが独立し手広になった家を適正価格で売却し、都心の利便性の高い場所に住み替えました。
老後を快適な住環境で暮らせるかは、30年前のマイホーム選びが決定づけていたともいえるのです。
住み替えた家族は、マイホームを長く付き合う「資産」と考えました。住宅購入は“資産”購入、投資のようなものというのです。
例えば、家を買った値段と同じ価格で売れれば、ローン返済は、出費どころか貯金になるということです。
そうすると、この家族のように売却資金を元手に「好きな場所に住み替える自由」も手に入るのです。
住宅ローンにも土地(家)にも縛られず、自由な生活ができているのです。
家を買う時に、売ること・貸すことを考える。購入前に資産性を確認する
家を買うかを検討する時に、最初に考えるべきことはなんでしょうか。
それは、ずばり「資産価値」があるかどうか?です。つまり、家を買う時に、売ること・貸すことを考えておくことが求められるのです。
今や空き家が増え続けている日本、数十年前のように、どこに家を買ってもいい時代はとっくに過ぎ去りました。
- 二世代同居が当たり前
- 相続した家を子世代が住む
というスタイルもなくなりつつあります。
むしろ、相続した実家の処分に困る相談が増えているくらいです。
「自宅は売らない」と考えていても、今や当たり前に転勤があります。海外支店に滞在することもめずらしくなくなりました。
そういう時に、貸せる住宅でなければ、家という「資産」を有効に活用できません。逆にいえば、有効活用できる「資産」かどうか、家を買う「前」に確認することが求められます。
先ほどあげた失敗例も、購入前に資産性を確認しておけば後悔しなくてすんだかもしれないのです。
「資産価値」って何?どう見抜くの?「みんなが住みたい」家を買おう
「資産価値のある家」というとなにか難しく聞こえますが、言葉を変えれば「いつでも貸せて売れる家」のことです。
そして、いつでも貸せて売れる家とは、「みんなが住みたい」と思う家のことです。
そのような家であれば、自宅を貸す時、売る時、次の借り手・買い手が見つかります。マイホームを活用しておカネを生み出せるということです。
誰も経験したことのない人口減少、家余り時代に突入している現在、資産価値にこだわったマイホーム選びが安心安全な住宅の土台となっています。
今後ますます「お金に換えられる家」を選ぶことが求められる時代になっています。
資産価値は立地で決まる!数千万円の不動産取引をする前に確認したい事
「みんなが住みたい」と思う資産価値のある家は、「立地」がよいことが大前提です。
山奥の高級物件よりも、都心の築古物件の方が使い勝手がいいですよね。築古物件であっても、建物自体はリフォーム・リノベーションでいくらでも改修できます。
家の建てられ方を考えても、立地の良い場所から建物が建っていくため、中古住宅には価値の高い家が眠っているケースが多いです。
ただ、それだけで終わる単純な話ではありません。
不動産は非常に多くの検討項目があります。その一つ一つに対し、人口や災害耐性、街の活性化度合い…など多くの情報を整理し総合的に判断します。
ほんの一例をあげると…
- そのエリアの人口構成・商業統計
- 世帯数・就学状況・推計世帯年収
- 昼夜間の人口差
- 最寄り駅の乗降客数
- 火災や交通事故の発生件数
- 犯罪発生件数
- 地震時の揺れやすさ
- 活断層の有無
- 液状化の可能性
- 洪水など災害の影響(浸水の可能性等)
- 土地の履歴・周辺の避難場所
- 駅・医療介護施設・警察・消防署の立地
- 学校・金融機関の立地
- ショッピング施設・日常取扱店・コンビニ
- 都市計画(立地適正化計画など)
- 不動産価格の過去推移
- 収益還元法による妥当価格(マンション)
- 建物構造
- 部屋の向き・階数・総戸数・平均階高
などなど、多くの調査をし検証します。
家の価値を割り出していくためにも、家を買う前に、統計調査・防災調査・周辺施設調査、都市計画の確認などを丁寧に確認したいものです。
その他にも、家を買う前に絶対チェックしおきたい項目があります。詳しくはこちらのコラムを参考にしてください。
チェックするのは不動産屋の仕事。お客さんは「仲介業者を選ぶ」だけ
面倒だと思われたでしょうか。こんなこといちいちやらなくてもいいんじゃない?と思われたでしょうか。
ただ、考えてみてください。何千万円もする資産を購入します。それだけのことをする価値はあると思いませんか。
ちょっと誤解がないように言っておきます。
お客さん自身が調査・検証するのではありません。そんなことできませんね、、むしろ、そういうチェックをするために不動産のプロである不動産会社がいるのです。
お客さん(買主)は不動産屋からの報告を受け、分からないことがあれば、何度でも聞けばいいのです。
言葉を変えます。お客さんがやることはただ一つ、検証業務を徹底して行う不動産会社を選ぶ、ただこれだけです。
具体的に不動産屋を選ぶ方法については、以下の記事を参考にしてみてください。
売れる家を買う米国人と「気持ちいいから」新築を買う日本人の違い
実は、このような徹底した検証を行ってマイホーム購入を検討するのは、不動産先進国のアメリカでは当たり前のことです。
米国では、同じ物件であっても「誰を通じて買うか?」を消費者が重視します。
物件情報のところに、エージェント(不動産のプロ)の顔写真が掲載されていたりもします。
一方、日本では、物件情報だけ並べられます。
資産性の検証はおろか、「買う時に売ることを考える」という欧米では当たり前の考え方もあまり浸透していません。
合理的な欧米人は、中古住宅を買う割合が7~9割にものぼります。
一方、日本は「新築」を買う割合が8割を超え、しかも「新築の方が気持ちがいいから」という漠然とした理由が最も多いとのアンケート結果もあります(国交省調査)。
「新築」vs「中古」という構図ではなく、新築であっても中古であっても、「資産価値がある物件」を買うという意識を持つことが大切です。
それを見抜くのが、しっかり検証する不動産業者(エージェント)の役割なのです。
不動産屋選びは、マイホーム探しのカギです。ちなみに、不動産先進国のアメリカでは、有能な営業担当者(個人)をヘッドハンティングして引き抜くことは日常茶飯事です。
プロ野球選手を、高額な年俸を提示し、球団が競いあって選手を獲得するようなイメージです。アメリカでいえば大リーガーですね。
日本は、不動産屋の“会社名”が有名ですが、米国ではエージェント“個人名”で勝負します。
消費者が“誰を通して買うか”の重要性を理解している米国だからこそ、会社側としても優秀な営業担当者を自社に雇い入れたいのです。
実は、米国における物件情報の公開は日本とは比べ物にならないほど進んでいて、そもそもアメリカの消費者は物件情報に価値を置いていないともいえます。
物件情報ではなく、仲介サービスで勝負。そこに物件情報はまったく関係ないのですね。
キッチン選びを楽しむのがお客さん、冷静なアドバイザーが不動産屋さん
ここまでの話をまとめます。
家の資産価値を見抜くことは、資産価値を徹底して検証できる不動産会社を選ぶことと同じということです。これに尽きます。
「マイホームを買う」というと、どうしてもキッチンをどうしよう、間取りは何LDKがいいかな?と考えるかもしれません。
それは、まったく問題ありません。むしろそれをお客さん(買主)が楽しくやるべきことですね。
ただ、不動産のプロである仲介業者が、設備や間取り選びに対して、「それは素敵なお家になりますね」とお客さんを気持ちをよくすることを目的とした“御用聞き営業”をしてはいけません。
その時はいいかもしれませんが、買って数十年経った後、安心な暮らしが土台から崩れてしまう危険性があるからです。
マイホームだけど、他人視点を取り入れる。「将来の買い手が喜ぶか?」
不動産業者は、お客さんが買う家が「長い目でみて安心安全な家かどうか」をしっかり検証することに力を注ぐことが求められます。
例えば、設備や間取りも、個性的過ぎるものは将来売りにくくなり資産価値を下げる可能性がります。デザイナーズマンションも行き過ぎると、マニア的な人しか買い手が付きません。
家選びには、「将来の買主が喜ぶか?」といった他人視点も時に必要です。万人受けする家が売りやすく貸しやすいのです。
不動産の専門家として、そういったアドバイスを行うのが本来の不動産会社の役割です。プロとして一番注力すべき業務です。
しかし残念ながら、多くの業者が、物件を売ることだけに力を入れる「物件紹介屋」「契約代行業者」であるのが実態です。
長く安心な暮らしを実現するには、まず不動産の前に、不動産「屋」を選ぶことがとても大事なのですね。
尚、不動産屋が不安だけど選びなおすのも面倒くさいという場合には、AI(人工知能)が物件の資産価値やリスクを判断する無料ツール「SelFin」もあります。
買おうとしている家の価格が適正か?(価格の妥当性)、将来売りやすいか?(流動性)など、なかなか分かりづらいですよね。 これをAI(人工知能)がビッグデータをもとに一瞬で判定するアプリが「SelFin」(セルフィン)です。使い方は物件情報サイトのURLをコピペするだけ、しかも無料! その他、耐震性や住宅ローン減税の適用可否、マンションの管理状況、土地の資産性なども分かる優れもの。本格的に購入検討する場合には、不動産屋さんに相談くださいね。
「金のことばっかりか!」お金(資産価値)を生む家は安全性にも繋がる
なんとなく資産価値とか投資(資産購入)という言葉だけみると、「金のことばっかりか!カネカネカネカネうるさいな!」と思うかもしれませんね。。
もちろん、お金は大事です。そして、お金を生む家、つまり資産価値のある家というのはみんなが欲しがる家です。
みんなが欲しがる家というのは、つまり安全・安心で快適に住むことができる家です。
だからこそ、資産価値を考える上でまずは立地を考えるというのがセオリーなんですね。
立地は利便性という文脈もありますが、上で説明した通り、地盤(土地)のことも調べなければいけません。災害の多いエリアや、液状化リスクのある土地は価格が安く、多くの人が価値を見出しません。
あなたの自宅を借りたいと思う人が多いということは、それだけ賃料(家賃)収入を得られるチャンスがありキャッシュを生む家です。
一方で、そういう家は利便性が高かったり、治安が良く女性に人気だったり(日本は世界的に見て全国的に治安がいいですが)、建物の構造がしっかりして地震に強かったりと、安全性含め多くの利点がある家とも言えます。
お金を呼ぶということは、そこにそれだけの価値があるということですね。
投資というとちょっとギョッとするかもしれませんが、資金を投じる価値のある家を買う・長きにわたって人々に愛される家を買う(将来売れる・貸せる)という感覚で捉えると分かりやすいかもしれません。
ぜひ、家探しに「資産価値」という意識を付け加えて素晴らしい取引をしてくださいね。
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